『ワカサギ釣り』は冬の風物詩として、古くから親しまれている人気の釣りです。
氷上での釣りを思い浮かべる方も多いかもしれません。
氷上の穴釣りのほか、湖でのボート釣りや寒い時期でも快適に楽しめるドーム船でのワカサギ釣りも人気です。
ただ、手軽に楽しめるとはいえ、はじめての方はどんな道具が必要か、どうやって釣るのかなどわからないことが多いのではないでしょうか?
そこで今回は、初心者向けにワカサギ釣りについて場所や道具、釣り方を解説します。
ぜひ参考にしていただき、念願のワカサギ釣りデビューを果たしましょう。
ワカサギ釣りとは

ワカサギは本来、島根県より以北の本州と北海道に生息する体長7~8cmの小魚。
漢字では「公魚」と書きます。
春に産卵して1年で生涯を終える「1年魚」や、満3年で成熟する「3年魚」は体長10cm以上に成長し、「デカサギ」と呼ばれ人気です。
およそ9月から3月の寒い時期がワカサギ釣りの最盛期。
氷結した湖で穴を開けて釣る「氷上ワカサギ」をはじめ、桟橋やボート、ドーム船など多様なスタイルで楽しめるのが魅力です。
仕掛けを垂らせば鈴なりで釣れることもあり、女性や子供でも手軽に楽しめてファミリーフィッシングとしても定着しています。
エキスパートになれば、1日で1,000匹以上釣れることも。
なかには「釣りのなかでワカサギ釣りが一番面白い」という方がいるほど、釣り人を魅了しています。
釣れたワカサギを食べるのも楽しみのひとつ。
冬のワカサギは臭みも少なく、定番のから揚げや天ぷらをはじめ、さまざまな調理方法で味わえます。
- ワカサギ釣りのシーズンはおよそ9月から3月
- 氷上・桟橋・ボート・ドーム船など多様なスタイルで楽しめる
- 女性や子供連れのファミリーで手軽に楽しめる
ワカサギ釣りを楽しめる場所

ひと昔前は、ワカサギ釣りといえば東日本より北の地域で楽しむイメージでした。
しかしながら、今では放流も盛んにおこなわれており、北海道から九州まで多くの方が楽しんでいます。
関東で人気の釣り場は山中湖・芦ノ湖・相模湖・高滝湖・榛名湖・赤城沼など。
関西では津風呂湖や東条湖などが有名スポットになっています。
北海道では網走湖、岩手県の岩洞湖は例年GWまでワカサギ釣りを楽しめるとして人気。
長野県の木崎湖のように通年ワカサギ釣りを楽しめる湖もあるほか、福島県の桧原湖は氷結時期の氷上ワカサギが有名です。
湖での釣り場としては氷上をはじめ、ドーム船、桟橋、ボート釣りがあります。
氷上

ワカサギ釣りといえば、多くの方がイメージするのが氷上釣りです。
氷結した湖に、穴を開けてワカサギを釣ります。
真冬の山上湖への釣行になるため、それなりの装備が必要。
初心者だけでの釣行は敷居が高いため、はじめての場合は経験者と釣行するのがおすすめです。
時期はおおむね1~3月で、北海道の網走湖・福島県の桧原湖・群馬県の赤城大沼などがメッカとして知られています。




ドーム船
「ドーム船」と呼ばれる小屋付きの船でのワカサギ釣りです。
雨風や雪をしのげるため、初心者におすすめ。老若男女問わず、快適かつ手軽に楽しめます。
座って楽な姿勢で釣りを楽しめるほか、なかにはエアコンを完備しているドーム船もあり、極寒での釣りとは思えない快適な釣りを満喫できるのが魅力です。
ワカサギ釣りツアーや初心者教室などはドーム船でおこなわれることが多いため、ぜひ参加してみましょう。
湖によって異なりますが、おおむね9月の解禁からゴールデンウイーク頃までシーズンです。
桟橋
ドーム船同様、手軽に楽しめるのが桟橋でのワカサギ釣りです。
雨風はしのげないものの、自然の雰囲気で釣りを楽しみたい場合に適しています。
ただし、桟橋でのワカサギ釣りを楽しめるフィールドは限られるほか、ハイシーズンには移動がままならないほど混雑する場合も。
湖によって時期は異なりますが、おおむね11月~3月がシーズンです。
桟橋をドームで囲った「桟橋ドーム」もあります。
ボート
9月にワカサギ釣りが解禁すると、ワカサギフリークはボート釣りからシーズンに突入します。
レンタルボートを利用し、手漕ぎでポイントに向かうのが一般的です。
ハンドコンエレキを使用する場合や、ポイントまでボードを引っ張ってくれる引き舟サービスをおこなっているボート屋があります。
一人で景色を眺めながらのんびり楽しめるものの、釣れるタナやポイントなど、広い湖で釣果を上げるにはそれなりの情報収集が必要であり、初心者の単独釣行は難しいかもしれません。



ワカサギ釣りに必要な道具と装備とは
竿・穂先
近年、ワカサギ竿は電動リールに差し込んで使用する穂先タイプが人気で、20〜30cmが標準的な長さです。
穂先部分が柔らかい「先調子」と、全体的に柔らかい「胴調子」の2タイプに分かれており、水深やオモリの負荷で使い分けます。
先調子は操作性に優れているほか、小さなアタリをキャッチしやすいのが特徴。
胴調子は、掛かったワカサギがバレにくいメリットがあります。
そのほか、各メーカーが販売している穂先にはさまざまな特徴があるので、さまざまな状況に対応すべく少しずつ買い増していくのがおすすめです。
ただ、電動リールを使うタックルはコストがかかるため、釣行回数が少ない方や試しにワカサギ釣りを体験してみたい場合には、手巻き式リールをセットする安価なワカサギ竿をチェックしてみてください。
ワカサギ釣りに慣れてきたら、さまざまな状況に対応すべく少しずつ買い増していくのがおすすめ






電動リール・手巻きリール
リールには手で巻き上げる「手巻きリール」と自動で巻き上げる「電動リール」があり、主流は電動リールです。
とくに、手返しを重視したい場合は電動リールがおすすめ。
数釣りのために竿を2本同時に出す人もおり、浅い場所でも電動リールを使う人が多くなっています。
なかには、自動で誘いをかけられるリールもあるのでチェックしてみてください。
電動リールは手元のボタンを押すだけで自動的に巻き上げできるものの、手巻きリールより価格が高いのが難点。
「ちょっと体験してみたい」「趣味として続けるかわからない」という場合は、安価な手巻きリールではじめてみるとよいでしょう。



ライン
ワカサギ釣りで使用するおもなラインには、ナイロンライン・フロロカーボンライン・PEラインがあります。
ナイロンラインはしなやかで扱いやすいのが特徴。
フロロ―カーボンラインも扱いやすく、感度に優れ張りがあるのが特徴です。
近年のワカサギ釣りでは、0.3号以下の極細PEラインが主流。
感度と強度に優れており、ワカサギの小さなアタリを明確に捉えられます。
氷上ワカサギ釣りなど、極寒期にPEラインが凍ってしまう場合にはフロロカーボンラインやナイロンラインを使うのがおすすめです。
製品によって30m巻や60m巻が販売されていますが、トラブルで切ることを考慮した場合、最初から60mを巻いておいたほうがよいでしょう。



仕掛け
ワカサギ釣りの仕掛けは多種多様なモデルが販売されており、「絶対にこれ!」というものがありません。
全長のほか、ハリとハリの長さが異なるなどさまざま。
長いものは1m以上のタイプもありますが、最初は50~80cm以下でハリが5~6本付き、0.3号程度のハリスを採用した一般的なタイプがおすすめです。
なかには、釣り場の名前を品名に採用した、ご当地専門仕掛けもあるのでチェックしてみてください。



ハリ
ワカサギ釣り用のハリは、狐鈎と袖鈎の2種類が主流です。
狐鈎は低活性時やサイズが小さいときに適しており、掛かりのよさが特徴。
ただ、バラしやすい面があり、掛かり重視の上級者向けです。
袖鈎は活性の高いときやサイズが大きい場合に最適。
バレにくいものの、食いの渋いときは掛かりが遅い場合があります。
ただし、ハリに絶対はなく、上記の特徴はあくまで目安。
ハリの選択が釣果に影響することもあるため、狐鈎・袖鈎ともに複数の号数を揃えておくのがおすすめです。
オモリ
ワカサギ釣りのオモリには細長い棒型と丸形の2タイプがあり、仕掛けの一番下にセットします。
丸型は底で安定しやすく、魚探に移りやすいのが特徴。
おもに、底につける釣り方で使用します。
棒型は宙釣りで使用しやすいタイプ。
落としやすいものの、底で倒れたり誘いにくかったりと、はじめは丸形がおすすめです。
釣り場の水深によって、4~10g程度から選択します。
素材には鉛とタングステンがあり、タングステンは同じ重さでもシルエットを小さくできるのが特徴です。



エサ
ワカサギ釣りのエサは「サシ」や「赤虫」を使用します。
サシのほうがハリに刺しやすく、初心者におすすめです。
サシには「白サシ」と、食紅で赤く着色した「紅サシ」の2種類があります。
どちらがよいかは、状況によって使ってみたいとわからないことも多いため、できればどちらも用意しておくのがおすすめです。
通常、船宿で販売されており、白サシと紅サシのどちらがよいのか教えてもらえます。
虫エサが苦手な場合は、人口エサも販売されているのでチェックしてみてください。
あると便利なグッズも要チェック
水槽&ワカサギ外し
ワカサギ釣りは手返しが重要。
ワカサギ外しを用意しておけば、釣れたワカサギをワンタッチですばやくハリから外せて便利です。
ワカサギ水槽にネジ止めするタイプや、カウンター付きタイプもあります。
また、ワカサギ水槽&ワンタッチのワカサギ外しがセットになったタイプもあるので、チェックしてみてください。
叩き台
電動リールを置いて操作する際に必要なテーブルです。
高さや角度を調整できるタイプなら、長い時間釣りでも疲れにくく快適に釣りを楽しめます。
ボートに固定するクランプ付きや脚付きなど、氷上用・ドーム船用・桟橋用・ボート用でタイプが異なるため注意が必要です。
魚群探知機
魚群探知機があれば水深や地形、ワカサギの群れが入ってくる様子がわかるため便利です。
ワカサギ釣り用のコンパクトな専用モデルが販売されているので、チェックしてみてください。
初心者なら最初はなくても大丈夫ですが、ワカサギ釣りをさらに極めようと思ったら購入を検討してみましょう。



クーラーボックス
釣ったワカサギを新鮮な状態のまま持ち帰る際に必要です。
小型モデルで十分であり、寒い時期に使用するため保冷能力も必要以上に気にする必要はありません。
なかには、エサを入れるトレー付きや魚の投入口などを備えた、ワカサギ釣り向きモデルも販売されているのでチェックしてみてください。
あぐらイス
ワカサギ釣りは終始座りっぱなしの釣りです。
地べたに長時間座ったままでは、背中や腰を痛めてしまうこともあるため、釣りやすい姿勢で座れる「あぐらイス」を用意しておきましょう。
通常のアウトドアチェアより高さが低く、あぐらを組んで釣りやすくなっています。
イスを用意しているドーム船では必要ないものの、桟橋や氷上ではあると便利なアイテムです。
ドリル
氷上ワカサギ釣りで、湖に穴を開ける際に必要です。
釣り場によってはレンタルできる場合もあります。
手動式のほか、アダプターを使って電動ドリルに取り付ける方法も。
ただ、市販の充電式電動ドリルは高価なため、最初は手動で穴を開けられるアイテムがおすすめです。
テント
氷上ワカサギ釣りで寒さや風を防ぐために使用します。
通常のキャンプ用テントのようなフロアシート付のタイプは使用できないため、注意が必要です。
ワンタッチで設営できるモデルが適しており、ワカサギ釣り専用テントも販売されています。
ソリ
氷上ワカサギ釣りで荷物を運ぶ際に使用します。
氷上では、穴を開けるドリル・細かい氷をすくうオタマ・テント・魚群探知機・バッテリーなど、大量の荷物を運ぶため、ソリがないと不便です。
とくに、ポイントまで距離がある場合は必需品。
ワカサギ釣り用があるわけではなく雪遊び用のソリで十分ですが、深さのあるタイプが荷物を載せやすく便利です。
ライフジャケット
ボート釣りではライフジャケットが必要になります。
また、ドーム船では途中乗船や途中下船など渡し舟に乗るケースもあり、やはりライフジャケットを着用しなければなりません。
レンタルボート屋さんでは通常、レンタル用のライフジャケットを用意しています。
ワカサギ釣りに慣れて、自分用のライフジャケットが欲しくなったら購入を検討してみてください。
ワカサギの釣り方


ラインの結び方
市販の仕掛けにはヨリモドシやスナップが付いており、そこへリールのラインを結びます。
もっとも一般的で強度に優れている結束方法が「クリンチノット」です。
ヨリモドシの輪へラインを通し、折り返した先端をラインへ5~6回巻き付けてからヨリモドシとラインの輪へ通します。
次にできた輪へ通して、余分なラインをカットすれば完了。
一度結んでみれば簡単に結束できるので、ぜひ覚えておきましょう。
エサの付け方
通常、仕掛けについているハリのすべてにエサを付けます。
サシを使用する場合は、必ず切って使うのが基本です。
カットすることで、サシから出た体液をついばみにワカサギが寄ってきます。
頭をカットしたり、尻をカットしたりのほか、2本でハリで頭と尻に刺して真ん中でカットすれば両方を使えます。
20~30分ほどで体液が出なくなったら、エサを交換するタイミングです。
よく釣れている場合でも、体液が出なくなったら交換しましょう。
仕掛けをタナまで落とし込む
基本的な釣り方は、まず仕掛けを底まで落とし込みます。
オモリが底に着いたらラインを巻き上げ、ワカサギが回遊しているタナに合わせていくのがコツです。
タナは、船長がいるドーム船なら「底から10m上げて」などのように教えてくれる場合があります。
わからない場合には少しずつタナを変えて、ワカサギがいるタナを見つけていきましょう。
軽くロッドを上下させて誘いをかける
ワカサギは竿を上下させるなど「誘い」をかけないと、なかなか釣れません。
誘いにはさまざま方法がありますが、基本は着底したら下バリのハリス分くらい持ち上げるのが基本です。
ワカサギ釣りはその日の釣れるリズムを探すのが重要。
さまざま誘いをかけてみて、その日のパターンを掴むのが釣果をあげるコツです。
アタリがあったらアワセる
プルプルというワカサギをアタリが穂先に出たら、口にハリ掛かりさせる「アワセ」を入れます。
その際、ビシッと強めに合わせるのは禁物。
ワカサギの口はやわらかいので、ロッドを持ち上げるようにスウィープで合わせます。
あまり大きなアクションは、周りのワカサギに警戒されるため注意が必要です。
釣ったワカサギを美味しく食べよう!


釣ったワカサギは持ち帰って、美味しく調理していただきましょう。
から揚げをはじめ、天ぷらや素焼き、南蛮漬けなどさまざま調理方法で食べられます。
もっとも手軽に調理できるのが定番のから揚げで、片栗粉をまぶして油でさっと揚げるだけと簡単。
生臭さが気になる場合は事前に水洗い、塩もみ、酒につけるなどひと手間かけるのがおすすめです。
生臭い原因のひとつが、内蔵の未処理にあるともいわれています。
ワカサギの下あごの骨を指でつかんで尻尾側に引っ張ると、あごごと内臓を抜き取れるため試してみてください。
たくさん釣れて一度では食べきれないことも多いので、片栗粉でまぶしたまま冷凍しておきましょう。
食べたいときにさっと取り出して揚げるだけで、いつでも美味しく食べられます。
冬がハイシーズンのワカサギ釣りをはじめてみよう!
秋から冬にかけてシーズンを迎えるワカサギ釣り。
紅葉を眺めながらのボート釣りや、冬ならではの一面銀世界でワカサギ釣りを楽しんでみてはいかがでしょうか。
はじめてなら、なるべくベテランの方に同行してもらうのがおすすめですが、難しい場合はメーカー主催のワカサギ釣りツアーなども開催されているので、チェックしてみましょう。
ワカサギ釣りを体験して、自分で釣った食べごろのワカサギをぜひ食べてみてくださいね。